介護というと心身ともに色々な面で大変というイメージを持つ人は多いです。そんな介護の環境を改善する上で、色彩が役立つことを知っていますか?好みの色で選んだものや、特に気にせず何気なく見ている色など身の周りにある色は様々ですが、色は人の心や身体に影響を与えると言われているため、介護の現場における色彩の取り入れ方を工夫することで様々な負担を軽減させ暮らしを快適なものにすることができます。色による効果は単純に良い悪いでは区別できないので、色の効果を知り適切な配置をすることが大切です。例えば、意欲向上や気分高揚のためには赤が有効ですが、赤が多いと刺激が強すぎて注意が散漫になったり血圧が上がったりすることがあります。逆に、青は興奮や緊張を抑える効果がありますが、食欲がなくなったり口数が減ったりすることが注意点です。緑は気持ちを穏やかにさせる反面積極性が低くなり、ピンクは明るい気分になるとともに幼稚さが強くなるなど、それぞれの色のメリットとデメリットを考慮し、対象となる人や場面に合った色を取り入れることで介護する側もされる側も過ごしやすい環境となるでしょう。
情緒面だけでなく、物理的な手助けとしても高齢者の生活にとって色彩は重要です。転倒の原因となりやすい階段の段差などには目を向けやすい赤を使ったり、はっきりとした色の差をつけたりすることで、つまずいたり踏み外したりという危険を防止できます。また、トイレやお風呂、リビングなど、ぞれぞれの場所に色の変化をつけたり、区切りに目印となる色を入れたりすることで、生活場面ごとに必要な移動の際の手がかりとなり誘導の負担も軽減されるためとても有効。このように、介護現場と色彩の関係は、一見すると結びつきがないようですが、実は大きく関係しているのです。